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直営農園 開設秘話

ジャマイカに農園を持ちたい

1981年UCCは、ブルーマウンテンエリアの西側、標高800〜900mに位置する『UCCブルーマウンテンコーヒー・クレイトンエステート』を開設し、直営農園経営をスタートさせました。現在では2ヶ国に直営農園を所有していますが、最初に開設したのが「UCCブルーマウンテンコーヒー・クレイトンエステート」です。

昭和56年(1981年)、アメリカ・ジャマイカの両政府から、日本の農水省に入った栽培技術援助の要請が、前年に発足したばかりの全日本コーヒー協会に届き、それが協会の初代会長を務めていたUCCの創始者・上島忠雄の「ジャマイカに農園を持ちたい」という長年の夢と合致したことがきっかけとなりました。

ジャマイカ東部の山岳地帯でしか生産されないブルーマウンテンコーヒーは、素晴らしい味わいながら生産量は少なく、当時その殆どが日本へ輸出されてはいたものの、日本全体のコーヒー消費量の1%にも満たなかったのです。上島忠雄は、この絶対量の少ない最高品質のコーヒーを日本に安定供給するために、ブルーマウンテンの農園経営に乗り出しました。もちろん、日本のコーヒー業界では初めてのことでした。

ミック・ジャガーも欲しがった(?)農園事務所

まず、ジャマイカで最も由緒ある「クレイトンハウス」を購入して事務所にしました。現在でも農園のシンボル的存在になっているこのクレイトンハウスは、ジャマイカ総督となったイギリスのクレイトン卿が1805年に別邸として建てた豪邸で、同じ頃、ローリング・ストーンズのミック・ジャガー氏も買い取ろうと交渉していたと聞きます。

マホガニー調の床、壁に飾られた数々のエッチングなどが歴史の重みを感じさせるこの建物は、ジャマイカに現存するグレートハウスの一つとして、国の重要文化財の指定を受けています。様々な熱帯植物が育つ広い庭園は植物園さながらの美しさで訪れる人の感嘆を誘っています。

厳しい自然の中で…

事務所を決め事業をスタートしたものの、ジャマイカの険しい自然と闘いながらの農園経営は容易ではありませんでした。現地に派遣された社員も自然発火の山火事、旱魃、ハリケーン、猛暑・・・厳しい現実にいくたびも直面しました。また、すべて手作業で行う農園経営だけに、現地労働者たちとのコミュニケーションにも悩まされました。しかし、労働条件の改善・働きやすい環境整備などを経て、ようやく社員と労働者が一体となった作業が始まったのです。

農園開設当初は、ブルーマウンテンエリア内の約33ヘクタール(東京ドームの面積の約7倍)の総面積に35,000本のコーヒーの木を栽培していましたが、2006年には隣接する約9ヘクタールの農園を取得、その後2008年に約59ヘクタールの新たな農園を開発し、ブルーマウンテンエリア内の直営農園の総面積は、約100ヘクタールとなり、13万本を超えるコーヒーの木が植えられるまでに拡張しました。

レインフォレスト・アライアンス認証マーク

2008年には、カリブ地域のコーヒー農園初の「レインフォレスト・アライアンス」の認証を取得しました。
現在では、近隣農家への栽培技術指導などブルーマウンテンコーヒーの品質向上並びにジャマイカの地域社会の活性化に貢献しています。

● レインフォレスト・アライアンスとは
社会と市場の力で、人と自然にとってより良い未来の創造を目指すことを使命とし、1987年に設立された国際的な非営利団体です。
くわしくはこちらをご覧ください。