学術発表
株式会社味香り戦略研究所と共同研究をもとに、味覚センサを用いてコーヒーと食べ物の相性を分析する方法を開発し、この成果について第26回国際コーヒー科学会議(ASIC)(2016年11月15日/中国昆明)にてポスター発表を行いました。また、同内容についてまとめた内容を「おいしさの科学とビジネス展開の最前線」(シーエムシー出版)他など複数の書籍・雑誌にも寄稿しています。
発表年月日 | 2016.11.15 |
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英文標題 | Developing an analytical method-to discriminate the compatibility of foods with coffee using lipid polymer membrane taste sensor |
和文標題 | 味覚センサを用いたコーヒーと食品の相性を判別する分析方法の開発 |
著者名 | 半澤拓、福永泰司、岩井和也、成田優作(UCC上島珈琲株式会社) 早坂浩史(味香り戦略研究所) |
資料名 | 第39章 コーヒーと料理のマリアージュ (『おいしさの科学とビジネス展開の最前線』 p.389-396(シーエムシー出版)) |
抄録 | 味覚センサSA402Bを用いて、コーヒーと料理の相性を測るための分析方法を検討した。 まずは熟練のコーヒー鑑定士を含む数名の訓練された評価者の官能評価により、様々なコーヒーと料理の相性に対して点数をつけ、その後味覚センサでそれらのコーヒー、料理の分析値を測定した。 官能評価の結果と味覚センサの分析結果を照らし合わせたところ、料理とコーヒーとで味のバランスが類似した組み合わせ、あるいは料理の塩味が強くコーヒーの酸味が強い組み合わせなど、特定の組み合わせの時に好相性に感じられることが分かった。 私たちはこの結果をもとに料理とコーヒーの相性を判断する分析方法『フードマッチングシステム』を開発した。 |
近年ではコーヒーの消費量が拡大し、コンビニエンスストアや様々な形態の外食店舗にも広まり、飲用シーンも多様化。
その結果様々な食品と一緒にコーヒーを飲むケースが増えています。
そこで、UCCではお客様が「食事と一緒にコーヒー」を楽しめるように、コーヒーと食品との食べ合わせ相性を体系化し、
またその相性を測定する分析方法の開発に挑戦しました。
料理とコーヒーの相性を点数化するために、6名の専門パネルで、味覚の異なる17種類のコーヒーと51種類の料理(和食、洋食、中華料理、デザート類など)に対して官能評価を行いました。
味覚センサSA402Bを用いて、官能評価に用いたコーヒー、料理の味を測定しました。コーヒーは抽出液を室温まで冷却して分析し、料理は純水中にて適宜希釈し混濁破砕した後、液体部分と固体部分とに分け液体部分を分析に用いました。
コーヒーと料理の相性及び、味覚センサの分析結果は以下のようになりました。
この結果から、コーヒーと料理の味覚センサデータを照らし合わせた時に、
例1、例2のような場合に相性の良い組み合わせとなることが分かりました。
例1)お互いの味覚バランスが類似した組み合わせの時
例2)コーヒーの特徴的な味覚(酸味)と料理の特徴的な味覚(塩味)が補完し合う組み合わせの時
味覚センサは九州大学で開発された分析装置です。人工脂質膜を用いて呈味成分を感知することでヒトが舌で感じる
味覚と同じように食品の味を検出し数値化することができます。
ヒトが実際に感じる食品の味や香り、質感に対して評価者が点数や順位をつけてその品質を評価する方法です。
食品の品質を正確に評価するためには優れた感覚や、長年にわたる訓練を要しますが、UCCではコーヒー鑑定士(クラシフィカドール)、CQI認定Qグレーダーといった国際的な資格を持った熟練したコーヒーのプロフェッショナルも多数います。