おいしいコーヒーの淹れ方

コーヒーマリアージュ

一緒に食べ合わせることでコーヒーの味わいを何倍も豊かにしてくれる食べものの数々。
ご家庭でも楽しめる、相性の良い組み合わせを探してみましょう。

コーヒーと食べ物の組み合わせ

みなさんが朝食やおやつ、食後に飲むのはいつも同じコーヒーですか?
実は、コーヒーを食事に合わせて選んだり、逆にコーヒーに合わせて食事を考えたりすることで、さらにおいしい相乗効果が生まれることがあります。

コーヒーにぴったりの食べ物を探す「フードペアリング」を、ここでは「コーヒーマリアージュ」と呼びましょう。
マリアージュは「結婚」を意味するフランス語で、「複数の食べ物を一緒に飲食して相乗効果を生む現象」のことを指します。
ワインの世界では日常的に使われている言葉で、何千、何万という出会いの中でたった一人の伴侶を選ぶ結婚になぞらえて使います。
コーヒーと食べものを上手に組み合わせることで味わいが何倍にも豊かになる「コーヒーマリアージュ」。そのコツをいくつかご紹介します。

基本は互いの共通点を見つけること

コーヒーにどんなフードが合うのか考えるときの基本は、コーヒーと食べ物の共通点を見つけ出すことです。
それぞれ似ている味や風味のものを合わせることで、マリアージュが成功しやすくなります。
例えば、味わいの質や濃淡などの共通点は、最も分かりやすい組み合わせ例です。

ここでは、浅炒りと深炒りのコーヒーでマリアージュに挑戦してみましょう。

軽い味わいどうしのクラッカーとライトなコーヒーは、共通した「軽い味わい」がお互いの長所を消し合わず、隠れた持ち味を引き出すので相性がよく感じられます。
また、濃厚な味わいどうしのダークチョコレートとストロングコーヒーは、ダークチョコレートの濃厚な甘苦さはコーヒーのコクや苦味と同調し、お互いの強い特徴の中に隠されていた第2、第3の風味を引き出してくれます。

逆に、対照的な味どうしでは、それぞれの特徴を消し合ってしまいます。ただし、クラッカーにクリームやチョコレートを乗せるなどの工夫次第では、ペアリングが成立する場合もあります。

ここで、いくつかコーヒーとフードの組み合わせをご紹介します。
味わいの質や濃淡の共通点の他にも香りや風味の特徴、例えばコーヒーからナッツやフルーツの風味を感じ取ったら、その食材を使った食べ物をあわせてみるのも成功しやすいコーヒーマリアージュです。

【マリアージュの考え方❶】互いを補うものを合わせる

酸味の強いコーヒーに甘さや苦さを加えるなど、「ボディ感を補う」組み合わせは、味に奥行きを与えます。
例えば、「深めに焙煎したモカ」と「桜餅」の組み合わせは、モカを深めに焙煎することで、独特なスパイシーさがモカならではの甘苦さに繋がり、サクラの葉っぱの塩漬けの風味と非常に良く合います。このような組み合わせを見つけるのは、似たものを探すよりも難易度が高いといえます。

【マリアージュの考え方❷】人間の条件反射・錯覚を利用する

梅干しを食べた後にお茶を飲むとお茶が甘く感じた、なんて経験はありませんか。
「強い渋みを感じた後は甘みを数倍に感じてしまう」「少量の塩分は甘いと認識してしまう」等々の反射・錯覚を利用したペアリングの方法もあります。
例えば、「中炒りのキリマンジァロ」に「オレンジの輪切りが乗ったパウンドケーキ」を組み合わせると、オレンジの皮の渋みがコーヒーに潜んだやわらかい甘味を引きだしてくれます。

アレンジで楽しむコーヒーの味わい

コーヒーマリアージュをヒントに、様々な材料を組み合わせたアレンジコーヒーの魅力を楽しみましょう。
コーヒー本来の風味を生かしてチョコレートやクリーム、スパイス、アルコールなどの材料を組み合わせてみましょう。

ウインナーコーヒー

深炒りのコーヒーを濃いめに淹れたコクのあるコーヒーに生クリームをいれた、口当たりのやわらかいアレンジコーヒーです。
日本では発祥の地ウィーンにちなんで「ウインナーコーヒー」と呼んでいますが、一方ウイーンでは「アインシュベンナー」と呼ばれています。

●材料
濃いめに淹れた深炒りコーヒー 120ml
グラニュー糖またはコーヒーシュガー 5g
ホイップクリーム 30g

●作り方
① カップにグラニュー糖またはコーヒーシュガーを入れます。
② 深炒りのコーヒーを注ぎ、よくかき混ぜます。
③ ホイップクリームをコーヒーに浮かべます。かき混ぜずにそのままお楽しみください。

モカ・ジャバ

コーヒーとカカオは生産地も似ていて相性抜群。コーヒーのコクや苦味と、カカオやチョコレートの濃厚な甘苦さのマリアージュにより、苦味に隠された繊細な味わいを楽しむことができます。
ホイップクリームが口当たりもまろやかにし、スイートでコクがあるアレンジコーヒーです。

●材料
コーヒー 60ml
牛乳 60ml
チョコレートシロップ 10g
ホイップクリーム 30g
カカオリキュール 5ml
削りチョコレート 少々

●作り方
① カップにコーヒーと温めた牛乳、チョコレートシロップを注いで、よくかき混ぜます。
② さらにカカオリキュールを加え、ホイップクリームを浮かべます。
③ 最後に削ったチョコレートを飾ります。

アフォガード

レモンのような明るい酸味をもつエスプレッソとブラッドオレンジのアイスクリームが、「柑橘系」という共通の組み合わせの絶妙のマリアージュとなります。
コーヒーの濃厚なコクも感じつつ、苦味が苦手な人にもおすすめのデザートコーヒーです。

●材料
ブラッドオレンジジェラート 2スクープ
明るい酸味のエスプレッソ 30ml
飾りのチョコレートやナッツ 適量

●作り方
① 冷えたアイスクリームを容器に盛り付けます。
② エスプレッソを①の上にかけます。

アイリッシュコーヒー

濃い目の深炒りコーヒーに、アイリッシュ・ウイスキーの香りが引き立ちます。
厳しい冬を過ごすアイルランドの人々の知恵から生まれたこのアレンジメニューは、温めたウイスキーとのマリアージュにより、体をホカホカに温めてくれます。

●材料
濃いめに淹れた深炒りコーヒー 120ml
アイリッシュ・ウイスキー 15ml
ホイップクリーム 30g
(お好みで)白ザラメ 15g

●作り方
① 濃いめに淹れた深炒りのコーヒーを、カップに注ぎます。
② 温めたアイリッシュ・ウイスキーを①に加えます。
③ 好みに応じて白ザラメを入れよく混ぜます。
④ ホイップクリームを浮かべます。