1825年、ハワイ王国カメハメハ2世とカマルマル女王、オアフ総督・ボキの一行は訪問先のロンドンで初めてコーヒーを味わいました。しかし、残念なことにロンドン滞在中にカメハメハ2世と女王はハシカで亡くなってしまいます。ふたりの亡骸を連れて帰国の途についたボキ総督は、途中立ち寄ったブラジルのリオ・デ・ジャネイロでコーヒーの苗木を手に入れ、帰国後に植民者のウィルキンソンに命じてオアフ島のボキ農園に植えさせましたが、ウィルキンソンの存命中にコーヒー産業を成功させることはできませんでした。
しかし1828年、サミュエル牧師がハワイ島コナ地区の自宅庭に、ボキ農園から持ち帰ったコーヒーの挿し木を鑑賞用に植えたところ、コナの気候がコーヒーに合ったのか、木は瞬く間に生長し、僅か数年の内にコナ一帯でコーヒーを植えることが流行り、やがてこの地域の基幹産業に発展していきました。
アメリカ合衆国の50番目の州となったハワイ州は、ハワイ島をはじめ、マウイ島、オアフ島などの8島からなっています。中でもハワイ島は、一番若い島ですが面積は1万434平方キロメートルとハワイ諸島最大の島でビッグアイランドとも呼ばれています。島の中央には、ハワイ州最高峰のマウナ・ケア(4,205m)とマウナ・ロア(4,170m)がそびえ、マウナ・ロア山嶺には世界一の活火山キラウエア火山があります。
ハワイ島の現在の人口はおよそ21万人。気候は年間平均22〜25℃と温暖で、高地や火山地帯ではやや涼しく15℃程度。降水量は島の東西で極端に異なり、ハワイコナコーヒーが生産されるコナ地区は、ハワイ島内では降水量と日照とのバランスがとれた地域なのです。
ハワイコナコーヒーとは、“ハワイ島の西側のコナ地区で栽培されるアラビカ種のコーヒー”のことです。現在ハワイ島以外にも、マウイ島、オアフ島、カウアイ島などでコーヒー栽培が行われていますが、コナ地区で生産されるコナコーヒーが最高品質とされ、世界的にも有名です。
火山灰や溶岩の影響により、コナ地区の土壌はミネラルが豊富で水はけのよい性質を持っています。標高は250〜800m程度と他の生産地と比べて決して高くはありませんが、火山性の土壌、昼と夜の寒暖差など、コーヒー栽培には理想的な条件が揃っています。
ハワイコナコーヒーの生豆は、独特の青緑色をしています。
粒の大きさ、欠点豆が含まれる割合によって格付けされ、品質の高いものから「エクストラ ファンシー」「ファンシー」「No.1」「セレクト」「プライム」に等級分けされます。
そしてこの「プライム」までが“ハワイコナコーヒー”として使用されることを許されます。(「プライム」より下の等級の生豆は、コナ地区で生産されていても“ハワイアンコーヒー”と呼ばれて区別されます)
ハワイコナコーヒーは、柔らかな酸味と滑らかな口当たりを味わうことのできる高品質コーヒーとして人気がありますが、生産量が少なく、 1,000〜1,500トン程度。希少価値が高いためジャマイカのブルーマウンテンコーヒーと並んで高価な豆としても知られています。
1989年、UCCは2番目の直営農園として「UCCハワイコナコーヒー・エステート」を設立しました。
農園開発にあたってはなみなみならぬ苦労がありました。もともとコナ地区はフアラライ山の溶岩によってできた地形上にあるので、雨が降っても雨水が染み込みません。そこでまずは溶岩を引き剥がして砕き、その下にある土を掘り返して溶岩と反転させることからはじめなければなりませんでした。時にはダイナマイトで砕かなくてはならない固い溶岩にあたることも。また、農園開設時は灌漑工事も充分でなく、土壌が流出することもしばしばで、そのため、環境保護に重点を置きながら工事を施して、近代的灌漑設備を備えた農園に改良していったのです。
こうした努力が認められ、ハワイ州政府機関によって1993年「ハワイ島西地区最優秀農園」として表彰されました。ハワイ島のコナコーヒー生産農家は全て西地区にあるので、事実上、UCCハワイコナコーヒー・エステートがコナコーヒーの生産農家で最も優秀であることを認められた、という大変名誉な受賞でした。
UCCでは品質の良いコーヒーを生産するために、まず一本一本苗木を育てることからはじめます。強いコーヒーの木を栽培するために、接木(つぎき)の技術を使った苗木作りにも取り組んでいます。
コーヒーの木は不要な新芽などに養分を取られないよう、随時剪定を施します。また、木そのものの生産性が下がると、幹を一旦切るカットバックという剪定を行います。UCCハワイコナコーヒー・エステートでは、4年に1度、計画的にカットバックすることで、伸びてきた健全な芽だけを残し、また新たに実のなる木に育てています。適切なカットバックをすることで、コーヒーの木はとても長生きするのです。
また、カットバックされたコーヒーの木はチップ状にして、土壌の水分蒸発防止や土壌改良など、農園に還元して利用しています。
コーヒーが消費国へ輸出される時には、生豆(なままめ)の状態にまで加工されています。コーヒーチェリーの状態から生豆にすることを精製と言い、各生産地によって方法が異なりますが、ハワイコナでは水洗式(ウォッシュド)と呼ばれる方法で精製します。コーヒーチェリーから果肉を除去し、パーチメントと呼ばれる殻付きのコーヒーに仕上げ、乾燥したパーチメントコーヒーを脱穀して生豆にします。その後、等級ごとに麻袋に詰められます。
通常、各農園・農家で収穫されたコーヒーチェリーは、精製業者に出荷する際にひとまとめに集荷されるため、混在して生産農園も不明になってしまいます。UCCハワイコナコーヒー・エステートで収穫されたコーヒーチェリーは、集荷業者を介さずに独自管理をして持ち込み、さらに他の農園のものと別に精製されるため、純粋なUCCハワイコナコーヒー・エステートの生豆として仕上がります。
等級分けされた生豆は、今度はハワイ州農務局で厳しく品質チェックされます。格付けされた通りの等級かどうかを品質検査官が調べ、合格したコーヒー豆に対してのみ、詰められた麻袋ごとに、生産農園・等級・コード番号などが記された「品質証明書」が発行されます。麻袋には品質証明書と同じコード番号が記されたラベルが付けられており、このラベルと品質証明書を照合することで、輸出後もトレーサビリティを確保、つまり生産履歴をさかのぼって確認することができるようになっています。
UCCハワイコナ・コーヒーエステートは、ハワイ島コナ地区フアラライ山の裾野、標高 460m付近に位置しており、空港からは剥き出しの溶岩地を車で約30分ほど突き抜けてフアラライ山の裾野を登っていったところにあります。総面積16ヘクタール(東京ドームの約3.5倍)の中に、およそ1万8千本ものコーヒーの木が植えられています。
また、持続可能な生産活動を実践するための国際標準の生産工程マネジメントであるGLOBALG.A.P.認証(※)を取得しています。コーヒー農園としては世界で2例目、日本企業では初めてのことでした。
※GLOBALG.A.P.認証は、食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる世界共通ブランド。取引先の信頼性向上、貴社の企業価値向上に貢献します。
フェスティバルの始まりにふさわしい華やかなイベント。優勝者には、奨学金のほか様々な賞品が与えられ、ミス・ハワイコンテストにもハワイ島代表として出場します。また「一年間コナコーヒーをPRする任務」も与えられるため、社会問題などに関する考え方や「質疑応答」の受け答えも審査の対象になっています。
UCCハワイコナコーヒー直営農園で開催しているコーヒーの収穫体験イベントです。年代を問わずどなたでもご参加いただけるため、観光客や地元の家族連れなどで賑わいます。
コナコーヒーの品質向上を目的として開催されるイベント。コナコーヒーを生産する約50〜70の農園が参加し、その年一番のコナコーヒーを決定します。UCCからの審査員を含むコーヒーのプロが各国から呼ばれ、2日間にわたって香りや味の審査を行います。表彰式では一般の方もコーヒーの試飲が可能です。
コナコーヒー・カルチュラルフェスティバルの次回開催予定は、イベント主催者の公式サイト(英語)をご覧ください。
UCC コナマラソンは、毎年6月最終日曜日に開催されるハワイ島の最大のマラソンイベント。ハワイ島コナ地区のコーヒー産業の成長と発展に貢献するため、またさまざまな難病に取り組む人々を支援するために、ハワイ島の地元実業家たちにより、1994年に創設されました。 UCCハワイは地域貢献活動の一環として、毎年メインスポンサーとして協賛を続けています。
自分のレベルに合わせてコースを選べ、ウォーキングや車椅子でも参加することもできるファン・ラン。人々の笑顔に満ちたUCC コナマラソンは、世界中のランナーを魅了しています。
次回開催予定は、イベント主催者の公式サイト(英語)をご覧ください。