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コーヒーの植物学

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コーヒーの植物学

コーヒーの成長過程や実の構造、
品種・分類などを解説します。
植物としての側面を知ることで、コーヒーに
ついての理解がより深まるはずです。

【コーヒーは植物の種子】

「コーヒー豆」とは「豆」ではなく、アカネ科の植物「コーヒーノキの種子」だということをご存知でしょうか。日本では、国内の栽培はほとんど行われていないため(一部、小笠原などで栽培)、馴染みは無いですが、苗木から2〜3年かけて成長し、ジャスミンのような香りのする白い花を咲かせます。花自体は、開花から2〜3日でしぼんでしまうのですが、花のあとに、楕円形の実をつけます。この実は、完熟することで、まるでさくらんぼのように赤くなることから「コーヒーチェリー」と呼ばれます。その実の中に向かい合わせで入った、2粒の種子がコーヒー豆です。(まれに片方だけが大きく育った「ピーベリー」と呼ばれるものや、3粒の場合などもあります。)この種子を取り出し、精製したものは「生豆(なままめ)」と呼ばれ、通常この状態で農園から出荷されます。この生豆を
焙煎すると、ようやく私たちが見慣れた茶色のコーヒー豆になります。


【コーヒーチェリーの構造について】

コーヒーチェリーは、外側から外皮、果肉、内果皮(パーチメント)、銀皮(シルバースキン)、種子の構造になっています。この種子の外側の部分を取り除いたものが生豆と呼ばれます。このコーヒーチェリーを加工処理してから、乾燥した生豆の状態で輸出します。


【コーヒーの品種】

植物学的に言うと、コーヒーは数十の種を持ちますが、飲用目的で栽培され流通しているのは「アラビカ種」「カネフォラ種(通称ロブスタ)」の2品種です。その他、「リベリカ種」もありますが、商用としては扱われません。味わいの特長から「アラビカ種」はストレートでの飲用に適しており、「カネフォラ種」はストレートコーヒーとして味わう機会は稀で、ブレンドやアイスコーヒー等に多く用いられ、深いコクやパンチを与えています。カネフォラ種の品種は主にロブスタに限られ、その為、カネフォラ種は一般的にロブスタと呼ばれています。

品種 アラビカ種 カネフォラ種
ロブスタ
原産地 エチオピア ビクトリア湖周辺
から西アフリカ
樹高 〜3m 3〜6m
濃緑、楕円形 表面が波状
稔性 自家稔性 自家不稔性
特徴 世界中で最も多く栽培され、コーヒー生産量全体の58~63%を占めている。低地から高地にかけて栽培可能だが、サビ病等の病害虫に弱い。ストレートの飲用に適している。 低地で湿潤な土地で栽培される。生産量はコーヒー全体の37~42%だが、強健で病害虫にも強い。単品で飲むにはあまり適さず、主にブレンド用に使用される。

自家稔性(ねんせい):同じ株に咲く花同士で交雑して、次世代の種子が形成される性質。
自家不稔性:同じ株に咲く花同士で交雑せず、他の株の花粉による受粉で、次世代の種子が形成される性質。


【コーヒーの分類について】

コーヒーの分類についてはまだまだ解明されていない点も多く、現在でも品種の研究は世界各地で行われています。 まとめるとだいたい下の図の様な分類表になります。

《コーヒーの品種 分別表》

これらの品種が、世界中を旅するうちに先々で突然変異を起こして品種が増えていきました。 現在では、出荷目的で栽培されているアラビカ種は20種類以上あります。


【コーヒーの木の成長と収穫について】

コーヒーの木の苗から収穫まで、どのように成長していくのか。アラビカ種を例に説明します。

育苗

丈夫で、品種の特長をきちんと兼ね備えた木から採取した種子を、プラスチックポットに直接植えるか、種床で発芽させてからプラスチックポットに植え替えます。種まきから発芽まではおよそ40〜50日。それから20日ほど経つと、子葉が開きます。更に30日ほど経つと本葉が開きます。

植付け

種まきをしてから6〜9ヶ月後、苗が20〜60cmになったら、圃場に植え替えます。根の成長を助けるため、充分な大きさの穴を掘り、肥料と混ぜて土地と馴染むように苗を植えていきます。植える際に主根が真っ直ぐに伸びているか確認します。また主根の先を剪定バサミで切り落とすことで、側根の成長を促すこともあります。

開花

植付けから最初の開花まで、早いところでは18ヶ月、遅くても30ヶ月かかります。最初の花は、幼木なので、数も僅かです。成木になるには、産地の気候によって大きく左右されますが、約3〜5年かかります。 開花は、一斉に起こるわけでなく、約4ヶ月の間に5〜7回に分けて開花します。前半と後半の開花は小さく、中間の数回がピークです。アラビカ種は基本的に自家受粉(自家稔性)し、蜂などの虫が受粉を助けています。それ以外の種は、他家受粉(自家不稔性)です。

結実

開花した花の約8割が結実します。結実すると花弁が落ち、小さな胡椒の実のような実が茎の先に見られるようになります。気象条件などで変わりますが、開花から約8ヶ月かけて徐々に大きくなり、完熟豆に成長します。

収穫

通常のチェリーは、グリーン→黄色→赤と色が変わり、さらに熟すことで硬かったチェリーに弾力がついてきます。開花と同様、チェリーも一斉に熟すのではなく、開花とほぼ同じパターンで収穫時期を迎えます。高品質を誇る産地では、実が完全に熟した完熟豆だけを選んで収穫しますが、多くの産地では収穫速度をあげるため、熟度の異なる実も収穫し、収穫後に欠点豆を取り除く作業をしています。ブラジル・ハワイ・オーストラリアなどオートメーション化が進んだ大型農園では、自動収穫機で一斉に収穫するケースが多いです。