UCC Sustainability ChallengeUCC サステナビリティチャレンジ

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2022.05.31

伝説のコーヒー
「ブルボンポワントゥ」
再生プロジェクト

皆さんは、レユニオン島という島をご存知でしょうか?レユニオン島はフランスの海外県で、マダガスカル島から800㎞東に位置する、沖縄本島の2倍程の火山島です。人口は約86万人。2010年には、独特の景観や生態系を育む島として、世界遺産に登録されました。

レユニオン島には、かつてフランス・ルイ王朝が愛した幻のコーヒーが栽培されていました。その名は「ブルボンポワントゥ」。1942年の記録を最後に長い間姿を消しておりましたが、1999年UCCの呼びかけにより、幻のコーヒー復活に向けて再生プロジェクトが開始されました。生産者の方々は、昔から言い伝えられてきた「王様のコーヒー」づくりに、誇りを持ち取り組まれています。

幻のコーヒー「ブルボンポワントゥ」が復活するまで

ブルボンポワントゥの歴史

この島にコーヒーノキが伝わったのは1715年までさかのぼります。当時はフランスの王朝にちなんでブルボン島と呼ばれていました。ブルボン島で栽培されていた系統がのちに「ブルボン品種」と呼ばれるようになります。「ブルボンポワントゥ」はこのブルボン品種が突然変異してこの島で生まれた品種です。

その後、ブルボン島はコーヒーの生産が拡大し、18~19世紀には「ブルボンポワントゥ」も栽培されていました。甘い香りと上品な味わいに人々は魅了され、特に18世紀のフランスブルボン王朝で愛されました。しかし残念ながら1942年の輸出記録を最後に姿を消しており、生産は途絶えました。これがのちに「幻のコーヒー」と呼ばれる由縁です。

姿を消してから半世紀以上経った1999年、幻のコーヒーの再生を目指して、UCCはフランス国立農業研究開発協力センターと幻のコーヒーの故郷であるレユニオン島のサポートを受け、再生プロジェクトを開始しました。7年にもおよぶ調査と研究の結果、本格的な再生に成功したのです。
UCCは2007年に発売して以来、1年に一度、数量限定で幻のコーヒー「ブルボンポワントゥ」を販売しています。

ブルボンポワントゥのマザーツリー

2002年ブルボンポワントゥのプロジェクト活動を始めると、島民から多くの情報が寄せられ、島内で2000本のコーヒーの木が確認されました。その後4本の木を幻のコーヒーの個性を受け継ぐにふさわしい木「マザーツリー」として選び出し、現在の栽培に至っています。そして、マザーツリーのタイプ名は、栽培者の名前の最初の3文字を用い命名されています。

●LORタイプ・・・Lorion女史が自宅の庭で大切に育てています。“この木は誕生日におじいさんから譲り受けた大切な木です。”と語っております。

●ALEタイプ・・・Alenvert氏の自宅の庭は昔ブルボンポワントゥの畑のあった場所で、収穫したコーヒーはご自宅で焙煎し、楽しんでいます。

島の未来を託されたコーヒー

ブルボンポワントゥは広大な農園で栽培されているのではなく、約30世帯の生産者個々の畑で栽培され、収穫は全て手作業で行われます。手摘みされた完熟チェリーだけが集められたとしても、色合いには厳格な基準があるため、カラーセンサーを用いた確認も行われています。このような管理をしているのは、世界でもこのブルボンポワントゥだけなのです。
生産量は島全体で生豆1トン程度と極めてわずかです。多くはレユニオン島のお土産屋さんやホテル、レストランで消費されておりますが、輸出先としては日本(UCC)が最大となっております。

一般の旅行者も、生産者組合メンバーに事前に予約をすれば、農園見学・コーヒー試飲なども可能です。また、ブルボンポワントゥと地元の料理を提供するレストランもあり、コーヒーの生産に留まらない広がりを見せています。
見事復活を経て、地元で愛されるコーヒーに成長したブルボンポワントゥは、この島に発展をもたらしてくれる未来に向けたコーヒーとなっています。

生産者の想いを受けて製品化へ・・・

ブルボンポワントゥは、収穫量が少ない希少な豆であるため、日本での製品化は年1回だけです。その製品化に向け日本では、コーヒー鑑定士などの有資格者達が、レユニオン島から送付された多数のサンプルをカッピングし、ブルボンポワントゥの特徴をより良く出している豆を厳選します。

このコーヒーは他のコーヒー豆よりも小粒で硬いため、均一に熱をかけるのが難しく、焙煎士泣かせの豆だとも呼ばれています。よりおいしい製品に仕上げるためには、高度な焙煎技術も要します。
このようにブルボンポワントゥは様々な観点から、特別なコーヒーなのです。

※「UCCサステナビリティチャレンジ」は、UCCグループのサステナビリティビジョン「コーヒーの力で、世界にポジティブな変化を」に基づく
目標の達成のため、グループ全体で日々取り組んでいるさまざまなサステナブルアクションをご紹介するコンテンツです。

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