水による味の違い
水道水やミネラルウォーターなど使用する水によって、引き出されるコーヒーの味わいも変わってきます。
水は硬度、つまり溶け込んでいるミネラル量から、大きく「硬水」と「軟水」に分けることができます。
このミネラル成分のバランスによって、水そのものはもちろん、抽出するコーヒーの味わいにも違いが出てきます。
「軟水」「硬水」のどちらがコーヒーに適しているか、好みは人それぞれですが、硬度の違いによる味わいの傾向をふまえて、好みの水を追求してみてください。
軟水 | 水の特徴 そのまま飲んでみるとサラッとしている。 カルシウム・マグネシウムなどのミネラル分が少ないので、コーヒー成分に影響を与えにくい。 コーヒーの味わい マイルドで酸味の立つ味わいになる。コーヒーそのものの特徴が出やすい。 |
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硬水 | 水の特徴 そのまま飲んでみると噛めるような感覚。コーヒー成分と反応しやすいカルシウムやマグネシウムといったミネラル分が多く含まれている。 コーヒーの味わい マグネシウムの多い水を使った場合には、特に苦味が強くなる傾向がある。 |
※「水の硬度」とは
水に含まれるカルシウムやマグネシウムのイオンの量を炭酸カルシウムに換算し、水1リットルに含まれる量のことを言います。
WHOの基準では、1リットルあたり0〜60mgを軟水、60〜120mgを中軟水(中硬水)、120〜180mgを硬水、180mg以上を超硬水としていますが、一般的に100mg以下を軟水、100mg以上を硬水としています。
水道水でも良いの?
日本の水道水は場所にもよりますが、ほぼ軟水です。
水質は世界的にみてもかなり高い水準だと言えますので、十分おいしいコーヒーを淹れることができます。
汲みたて、沸かしたての新鮮な水を使うのはもちろんですが、以下のような点にも注意してみてください。ちょっと気をつけるだけでコーヒーのおいしさもアップします。
水道水を使う時の注意ポイント
塩素臭(いわゆるカルキ臭)を軽減する | コーヒーの香りを阻害する水道水独特の臭いは、一度沸騰させることである程度軽減できます。 また活性炭が入っている濾過器(浄水器)を取り付けると、さらに改善されます。 |
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朝、蛇口から出る最初の水は使わない | 前日から蛇口にたまっていた水なので使わないほうが良いでしょう。 |
鉄分の多い水は使わない | 水道管が古くなっていたり瞬間湯沸かし器の水を使ったりすると、水の中に鉄分が流れ出てくることがあります。 鉄分はコーヒー中のタンニンと結びついて味や水色に悪い影響を及ぼします。 |
適切な抽出温度
飲み物には、おいしさを感じる適温があるといわれます。
一般的にあたたかい飲み物は60〜70℃くらいの間、冷たい飲み物は5〜11℃くらいの温度がおいしいと言われています。
コーヒーにも同様に飲み頃の温度があります。
抽出器具によっては、非常に高温になったり、抽出中に少しずつ冷めてきたりするので、抽出するお湯の温度からコーヒー提供時と飲み頃の温度まで気を配りたいところです。
湯温による味の変化
同じ品種・焙煎度のコーヒーを使用しても、湯温によって抽出される成分が異なるため、抽出時の湯の温度が味にも影響を及ぼします。
コーヒーは、粉とお湯が接することで成分が抽出されますが、その成分は表面だけではなく粉の中心からも抽出されます。
このとき、「酸」や「糖」などの成分は、粒子のサイズが小さく軽いため、比較的低温でも粉の中心部から溶け出してきます。
対して、「苦味」や「酸味」などをつくる成分は、粒子のサイズが大きく重いため、抽出するには比較的高温のお湯を使用する必要があります。
ただし、高温にしすぎると「苦味」や「酸味」の成分が強くなりすぎるだけではなく、余計な雑味まで抽出されるため注意が必要になります。
淹れたてのコーヒーを冷めにくくするために
コーヒーは、熱すぎるよりも冷めた方がその味がはっきりわかります。
しかし、おいしいと感じられる温度の限度は60℃と言われています。おいしいコーヒーを楽しむために、冷めにくくする工夫をご紹介します。
❶ カップを温めておく
コーヒーが冷めるのをできるだけ防ぐために、あらかじめカップを温めておきましょう。
カップを温めない場合は抽出後約7分で60℃に達してしまいますが、温めた場合は約9分と、2分間も遅らせることができます。
ソーサーも温め、その下に断熱材としてのクロスを敷いておくと、より効果的です。
❷ 底の厚いカップを使用する
カップに厚みがあるほど保温力は高まりますが、口が触れる部分が厚すぎると飲みにくくなってしまうため、下部は厚く、上部は薄くなっているカップが最適と言えます。
他にも、席を立つ場合にはカップにフタをする、カバーをかぶせるなど様々な方法でコーヒーを冷めにくくすることができます。