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2024.12.24
UCC上島珈琲株式会社は、国連の専門機関である国際農業開発基金(International Fund for Agricultural Development <IFAD>)が実施する「民間セクター・小規模生産者連携強化(ELPS・エルプス)イニシアティブ」のパートナー企業となりました。今回はこのプロジェクトの内容と今後注力していく点についてご紹介したいと思います。
ELPSイニシアティブは、農林水産省の拠出金によってIFADが実施する枠組みとして、2023年のG7宮崎農業大臣会合において発表されました。本イニシアティブの目的は、民間企業と小規模生産者とを繋ぎ、世界中の小規模生産者を含んだサプライチェーンをより安定的で持続可能なものにすることです。IFADの強みは各国にネットワークを有することにあるので、この枠組みを活用することで、民間企業が保有するノウハウをより多くの小規模生産者へ直接伝えられるようになります。日本の輸入農作物が対象となる本イニシアティブの第一号案件として、タンザニアのコーヒーセクターが選ばれ、「持続可能なコーヒー生産プロジェクト」が立ち上げられました。このプロジェクトにはUCCと丸紅がパートナー企業として参加しています。
今回の支援対象に選ばれた国は、キリマンジャロブランドで有名なタンザニアです。国土面積は日本の2.5倍あり、内陸部の平均標高は1,200m、乾季と雨季が明確に分かれているため、コーヒー栽培に適した環境を有しています。そのため、コーヒーは主要輸出作物として広く栽培され、多くの国民がコーヒーによって収入を得ています。また、日本は最大の輸出相手国であり、両国はコーヒーを通じた強い繋がりを持っています。タンザニアは、アフリカでも有数のコーヒー生産国であるのですが、この10年以上、生産高が伸び悩んでいるという課題を抱えています。
そんなタンザニアの抱える課題を明らかにするため、IFADおよび丸紅とともに、UCCグループは今年6-7月に約2週間に渡って、タンザニア生産地における3つのエリア、合計9つの小規模生産者組合の現地調査を実施しました。
タンザニアでの現地調査を通して、小規模生産者が抱えるさまざまな課題が見えてきました。例えば、多湿でコーヒーの病気が蔓延しやすいエリアがある一方で、水源がほとんど無く乾燥で困っているエリアもあります。一口にタンザニアと言っても、本当に必要とされている支援が地域ごとで少しずつ異なっていると気づけたことは、現地調査での成果と言えます。現在、それぞれのエリアでの多様な課題に合わせて、生産者と連携しながら準備を進めています。ELPSの枠組みの中で、UCCおよび丸紅が長年のコーヒー事業で培ったノウハウを活かし、安定的で持続可能なバリューチェーンの構築・強化を目指します。
各社それぞれの役割は以下の通りです。
丸紅:堆肥生産に活用できる地域資源の調査並びに現地での進捗管理及び報告
IFAD:プロジェクトの全体管理、インフラ構築及び技術指導に必要な資材の提供
UCC:育苗、環境負荷の少ない農法、堆肥生産及び収穫後の処理に関する技術指導の提供
タンザニアは、UCCグループが考えるネイチャーポジティブの戦略的生産国のひとつです。今後ELPSのプロジェクトでは、シェード農法や堆肥生産などの環境配慮型の営農技術を指導しつつ、コーヒーの増産も目指していきます。
プロジェクトの進捗は引き続き記事にさせていただきますので、是非お楽しみにしていただけたら幸いです。
▶▷ UCCニュースリリース「UCC、タンザニアにおける民間セクター・小規模生産者連携強化(ELPS)案件に参加」
▶▷ UCCHP ネイチャーポジティブアプローチの実践
※「UCCサステナビリティチャレンジ」は、UCCグループのサステナビリティビジョン「コーヒーの力で、世界にポジティブな変化を」に基づく目標の達成のため、グループ全体で日々取り組んでいるさまざまなサステナブルアクションをご紹介するコンテンツです。