近年のフードトレンドとして注目を集める「植物性(プラントベース)ミルク」。最近では、スーパーマーケットにも多種多様なミルクが展開されてきています。ご家庭でもコーヒーと合わせてカフェオレを作る方も増えてきているのではないでしょうか。今回、それぞれの植物性ミルクに本当に合うコーヒーを、UCCコーヒーアカデミー講師が本気で検証しました。

植物性ミルクとは?
健康志向やサステナビリティ意識の高まりに伴い、人気を集め始めている植物性ミルク。温室効果ガスの排出量は動物性のものに比べると1/3ほどとなっており、環境にやさしいサステナブルな食品です。また、栄養面でも、動物性ミルクに比べて低カロリー・低コレステロール・低脂肪と、多くのメリットが知られています。さらに、乳製品アレルギーや乳糖不耐性の方(飲むと腹痛や下痢などの症状を起こされる方)が牛乳の代替品として飲むことも可能です。
年々拡大を続ける世界の植物性ミルクの市場規模は、2026年には406億米ドル(5兆8811億円)にまで達すると予想されています。日本でもスーパーマーケットやコンビニなど身近な売り場で、豆乳だけではなく、アーモンドミルクやオーツミルクを目にする機会が増えてきました。
しかしながら、「よりおいしく飲む方法が知りたい」「購入したものの飲み切れるか心配」と思う方も多いのではないでしょうか。そこで、植物性ミルクをより気軽に生活に取り入れてもらえるよう、各植物性ミルクでカフェオレを作る際に相性がとても良いコーヒーをご紹介します。組み合わせにこだわることで広がる、植物性ミルクならではのおいしさをお楽しみください。
注目を集めている植物性ミルク。それぞれに合うコーヒーとは?
コーヒーと植物性ミルクの組み合わせは、コーヒーの抽出技術を競う日本大会で準優勝経験を持つUCCコーヒーアカデミーの村田講師が監修しています。

植物性カフェオレの作り方:
12gのコーヒー粉に対して60mlのお湯で抽出し、濃いめのコーヒーを淹れます(出来上がり量は40ml)。コーヒーをカップに注ぎ入れ、鍋または電子レンジで温めた植物性ミルクを加えます。分量はコーヒー40mlに対して、植物性ミルク160mlが理想ですが、お好みに合わせてコーヒーと同量でもOKです。
定番ミルク3種でカフェオレを作ろう
豆乳(ソイミルク)でカフェオレ

言わずと知れた豆乳は、大豆をすりつぶして液体を取り出して作られます。女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンだけでなく、貧血予防の鉄、骨の形成に欠かせないマグネシウムが含まれています。
素朴でまろやかな味わいが特徴のため、カフェオレにするならコロンビアの深煎りがおすすめです。コロンビアの深煎りは、コクがあり他の素材と合わせても負けない味わいで、丸みのある酸と豆乳がよく合います。
アーモンドミルクでカフェオレ

アーモンドを水に浸し、砕いて搾ったアーモンドミルクは、豆乳に次ぐ第3のミルクとも呼ばれています。血行の促進や老化の抑制を促すビタミンEや食物繊維が豊富に含まれています。コレステロールはゼロ、カロリーも牛乳やほかの植物性ミルクに比べて大幅に低いため、ダイエット時におすすめのミルクです。
アーモンドフレーバーが香るミルクのため、同様にアーモンドのようなナッツの味わいがあるブラジルの中煎りコーヒーがぴったりです。似た味覚を組み合わせると風味の質がリッチになり、より深い味わいに。ミルクならではの味わいをコーヒーが邪魔せずに楽しめるのもポイントです。
オーツミルクでカフェオレ

オーツ麦をすりつぶして水を加え、繊維質を取り除いたオーツミルクは、ほのかで優しい甘味と麦の香ばしさをほんのり感じるクセのないマイルドな味わいが特徴です。食物繊維やカルシウム、ビタミンなどが含まれており、他の植物性ミルクと比べて、コーヒーとの相性が良く、温かい飲み物に入れても分離しづらい特徴があります。
そんな万能なオーツミルクを植物性ミルク初心者がカフェオレにするのであれば、コロンビアの中煎りコーヒーが特におすすめです。オーツミルクのほのかな甘さとコーヒーの柔らかな酸とコクがマッチし、より長く味わいが続きます。
これから流行る?注目のミルク3種でカフェオレを作ろう
ライスミルクでカフェオレ

さっぱりとした味わいの中に、お米由来の甘酒にも似たほんのりとした甘みが感じられる、なめらかな舌触りが特徴の食物アレルギーのリスクが低いミルクです。脂質、タンパク質が少ないためスチームミルクにしたときに泡立ちにくいという特徴があります。
ライスミルクには「甘み」と「フルーティーな香り」が特徴のエチオピアがベストマッチ。華やかな風味を持つエチオピアに対して、ライスミルクが甘さを補完してくれ、自然な甘さが心地よい味わいに。カフェオレにすると甘酒っぽさがあまり残らないため、ライスミルクの消費活用法のひとつとしてもおすすめです。
ピスタチオミルクでカフェオレ

スイーツでも大人気で「ナッツの女王」と呼ばれるピスタチオの植物性ミルク。髪や肌を健康に保つ効果のあるビタミンB6がナッツ類のなかでもトップレベルに含まれています。
ピスタチオミルクの味わい自体は濃厚な印象で、カフェオレにするならエチオピアが最も合います。華やかなエチオピアの香りと、ピスタチオの甘く香ばしい香りの掛け合わせで、より風味が広がり余韻を長く楽しめます。お互いの良さを最も引き立て合う組み合わせです。
ヘンプミルクでカフェオレ

ヘンプシード(麻の実)から作られ、数ある植物性のミルクの中でも特に栄養価が高いため、「奇跡の飲み物」と呼ばれるヘンプミルク。体内で生成できない必須アミノ酸9種類が含まれています。さらにビタミン、ミネラルも豊富で、鉄分はレバーのおよそ7倍、食物繊維はさつまいものおよそ20倍。また、生活習慣病を予防するオメガ3およびオメガ6脂肪酸が豊富で、健康志向の人を中心に海外で人気です。
ヘンプミルク自体がとても独特・ユニークな味わいのため、ナッツ感のある香ばしい味わいのブラジルの中煎りコーヒーでカフェオレにし、たっぷりの蜂蜜と合わせて飲むと飲みやすくなります。健康に気を配りながらおいしく取り入れ、エネルギーに変えてみませんか。
植物性ミルクと合わせたコーヒーの味覚分布図

植物性ミルクのおすすめアレンジレシピ
黒ゴマカフェオレ

材料:
・コーヒー(コロンビア深煎り) 12g(抽出液40ml)
・オーツミルク 140ml
・黒ゴマペースト 10g
・蜂蜜 10g
・炒り黒ゴマ(すられてないもの)
①蜂蜜10gと、黒ゴマペースト10gをあらかじめカップの中でよく混ぜ合わせておきます。
②コーヒーを抽出します。(コーヒー12gに対してお湯60g)
③オーツミルクを温め、泡立てます。(オーツミルク140gを約65℃で)
④①に②のコーヒーを入れよくかき混ぜます。その上に泡立てたオーツミルクを注ぎ、最後に黒ゴマをのせて完成です。
アイリッシュコーヒー

材料:
・コーヒー(エチオピア) 15g
・ブランデー 15g
・アガベシロップ 15g
・ヘンプミルク 30g
・植物性クリーム 10g
①コーヒーを抽出します。(コーヒー15gに対してお湯30gを5回に分けて注ぐ)
②グラスにブランデー15gとアガベシロップ15gを入れて、
そこに抽出したコーヒー①を入れ、よく混ぜます。
③ヘンプミルク30gと植物性クリーム10gを混ぜて、泡だてた②のコーヒーにトッピングします。
カフェオレにマッチするおすすめのUCCコーヒー

優雅な香りと深みのある味わい「UCC ゴールドスペシャル リッチブレンド」
ブレンドで広がる、豊かな味わい。
ロースターが手間ひまかけてこだわり抜いた本格コーヒー。
100万とおりの焙煎レシピの中からたどり着いた、ただひとつの味わいをお楽しみいただけます。
「ゴールドスペシャル」シリーズは、粉タイプのほか、豆タイプもあります。
ブランドサイト:https://www.ucc.co.jp/gold_special/
×アーモンドミルク
コーヒーから感じられるナッツのような風味と、アーモンドミルクの香りが合わさることで、よりナッツの風味が引き立ちリッチな味わいを楽しめます。

豊かなコクの「UCC 職人の珈琲 深いコクのスペシャルブレンド」
“コク専用”焙煎 × “香り専用”焙煎のWロースト製法。
それぞれ目的別に焙煎してからブレンドすることで「コク」と「香り」を最大限に引き出しました。
「職人の珈琲」シリーズは、粉タイプ・ワンドリップタイプのほか、インスタントコーヒーやPETボトルコーヒーもあります。
ブランドサイト:https://www.ucc.co.jp/meister/
×オーツミルク
オーツの優しい甘さにより、マイルドでバランス良い味わいを作り出します。コーヒーの香ばしい風味を残しつつ、甘さと香ばしさの余韻を長く楽しめる一杯に。

<UCCコーヒーアカデミー専任講師 村田 果穂(むらた みほ)>
優れた抽出技術を競う「ジャパンブリュワーズカップ2014/2015」にて準優勝した経験を持つ。ほか、世界各国で開催される、もっと優れたスペシャルティコーヒーの味わいを評価する品評会「カップオブエクセレンス」で国際審査員なども務めるなど、抽出技術はもちろん、優れた味覚・嗅覚の持ち主でもある。